何回登っても鳥海山はきついなあ |
[鳥海山(2210m・にかほ市――2015年5月3日)] |
今年もまた祓川直登登山の季節がやってきた。毎年5月のGWが来ると胸が高鳴る、というのは嘘で、不安のため夜の眠りも浅くなるのが常だ。なにせ冬の間はスノーシューをはいた雪山ハイキングが主なので、いきおい小さな山ばかり。山登りとは言い難い山行がメインだ。 本格的な夏山登山の幕開けは5月から始まり、その先駆けが鳥海山なのである。体力的にも精神的にも、この1年の山登りの吉凶を占う「バロメーター」の役割も果たしている。 もう5,6年、GWには鳥海山祓川ルートを登るのが定番になっている。ようやく過度の気負いも不安も薄れ、平常心に近い気持ちで「この日」を迎えられるようになった、といっていいかもしれない。 今年は雪が少ない。鳥海山も例外ではなく、登山道にいたる自動車道の雪の回廊が跡形もない。これでちょっと調子がくるってしまったほどだ。 いつもなら登り始めはツボ足でスタートするのだが、今回は念のため(雪が柔らかそうなので)スノーシュー持参。幸いぬかるむほどではなかったがスノーシューもあり、の雪質だった。 天気は好天。無風でコンデションとしては最高だ。 ツボ足ではちょっと不安だったので最初からアイゼンをつけることにした。登山靴も最も重いものを選んだ(雪を歩くので冷たくないように)。重い靴とアイゼンを合わせると2キロ以上の重さがある。これはけっこう最初からハンデだなあ。 雪がグズグズで歩きにくいが、まずは順調にスタート。最初の目標地点は8合目の避難小屋だ。グングン自分のペースでピッチを上げる。これもいつものことだ。他のメンバーは「また、あいつが」という目で見ている。 ペースを上げたのは、実はSリーダーが自分の先にどんどん登っていると勘違いし、早く彼に追いつこうとペースを速めてしまったのだ。 8合目小屋までは1時間半ほどかけてゆっくり上るのが理想だ。それを1時間余で登ってしまった。ハイペースでまずいなあ、と自分でも反省はしていたのだが足が止まらない。結局、小屋まで来てもSリーダーはおらず、自分の後ろからゆっくり上ってきた。人違いをしてしまったようだ。 小屋で20分以上、仲間を待って休むことになった。ここで完全に体が冷えてしまった。
案の定、9合目を過ぎたあたりで両腿に痙攣。両腿がしびれて麻痺、力が入らない。山頂が目の前にあるのに足は金縛りにあったように棒状態だ。自分のものでなくなった丸太2本を上半身の力でゆっくり1歩1歩持ち上げ、どうにかこうにか山頂に立った。やはり前半の飛ばし過ぎの付けが回ってきたのだ。それに2キロ近い靴とアイゼンの重さもいつも以上の負荷になったのは間違いない。結局、登りに4時間15分。どうしてもこのぐらいはかかってしまう。 下りは足への負担を避けヒップスキーに頼ることにした。コーティングをした冬用パンツをはいてきたのが正解だった。下りの5分の一は尻スキーで楽をして降りてきたが雪質が悪く、滑りはよくなかった。 |