No.109
ウルシと横手城と後三年合戦
[南郷岳(681m・横手市山内村――2015年6月28日)]
 今日は岩手側から初アタックする焼石岳だったが、昨夜から雨模様で中止になった。何カ所か渡渉があるので危険と判断したのだ。
 行くとなれば朝3時起きの4時集合、正直なところホッとしたが、初めての岩手側焼石も魅力的で、期待でワクワクしていたのも事実だ。
 朝3時起きという事態は免れたが、山行そのものを取りやめになったわけではない。小降りなので午後からは回復する可能性がある。小さな山に代替登山をしようということになり朝6時の集合。起きるのが朝の3時から5時に変わっただけである。
 そんなわけで、岩手には向かわず横手市山内村の南郷岳に行くことになった。集合場所に集まってから全員の意見を聞いて、リーダーが決めたものだ。
 南郷岳はもう何回も登っている。冬場は急坂もあってスノーシューには格好の山だが、夏場はとりたてて見どころはない。それでも雨にしっとり濡れて緑が光り輝いている山は、それだけで身体に新鮮な酸素を供給してくれる。
2時間ほどかけて、地元の信仰の山に登頂。収穫は「ウルシ」の樹木を見分けられるようになったこと、か。去年、田代岳でなにげなく巨樹に寄りかかりツタウルシにかぶれた。あれ以来、「ウルシの葉っぱをちゃんと判別できるようにしよう」と実は思い続けていたのだ。それが、この山では参考になる、わかりやすいウルシが至るところに顔を出す。もうウルシは大丈夫。
 出発が早く、おまけに小さな山なので登山口に降りてきてもまだ午前10時台。時間はたっぷりあるので近くの「あいのの温泉 鶴ヶ池荘」でひとっぷろ浴びることにした。大きくて近代的な清潔感のある温泉で、ここは初めての温泉だ。ロビーからは大きな鶴ヶ池が壮観で、この景色の記憶がない。だから初めてだと思ったのだが、多分以前の来た記憶が飛んでいる。このブログを見た人から「私と一緒に何回も言ったじゃないですか」といった抗議が入る恐れがある。でも本当にこの景観は記憶にないなあ。

これがウルシの葉っぱ

横手城です
 温泉の後は道の駅休憩所でランチ。山用の冷え切ったおにぎりや弁当をここで食べたのだが、駅内においしそうな蕎麦屋さんが2軒。そばを食べている観光客がうらやましかった。
 ランチを食べ終わってもまだ12時前。急きょ横手城を見に行こう、ということになった。「なった」なんて他人任せのようだが、言いだしっぺは私。このところ初代の横手城代・伊達盛重の本を読んで、横手城というマイナーな城に秘められた壮大な歴史ドラマを知ったばかり。その横手城を一度も訪ねたことがなかった。
 本を読んだばかりなので、生意気にもガイド役を引き受け、うんちくを語りまくり。とはいっても何せ半可通、難しい質問にはスルーを決め込んだ。
 横手城ですっかり山歩きよりも「お勉強モード」に入ったモモヒキーズ一行は、さらに金沢の「後三年合戦資料館」や古戦場跡まで訪ねる熱心さ。モモヒキーズにはなんと「安倍貞任の追っかけ」お姉さままでいることがわかった。山に登りに来たのか、横手の歴史散歩なのか、よくわからない1日だった。

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