No.121
今年最後の山は高舘山・八森山・飯森山
[高舘山(274m・山形県鶴岡市大山――2015年12月10日)]
 ちょっとひまになったので、お隣の山形まで遠出して鶴岡市の高館山へ登ることにした。庄内の酒田市は好きな街で数年前まではしょっちゅう行っていたが、このところご無沙汰。酒田は食べ物がうまいので、行くと体重が増えてしまうので自制していたのだ。
 酒田在住の写真家(アウトドア系)・Sさんを誘い、今年たぶん最後の山歩き。朝7時に秋田市の自宅を出発、集合場所の酒田市街には1時間40分もあれば到着。高速道(象潟まで開通中)に感謝だ。
 高舘山は酒田のお隣の鶴岡市大山地区にある。大山は藩政期から酒造の町として秋田の酒造りにも大きな影響を与えた地域で、今もいくつかの酒造会社が残っている。
 高舘山周辺は広大な自然観察の公園になっている。登り口も5,6か所あり、市民はそれぞれの事情に合わせて登山口を選びこの地域を自由に散策することができる。登山口の上池や下池には白鳥が羽を休め、おびただしいマガモたちが群れていた。

これが冬の蛾です

展望棟からは鳥海山がくっきり
 今日は比較的人が少ない急坂のある「金沢コース」を登ることにした。この辺は地元のSカメラマンにお任せだ。
 途中、この時期に登山道を舞っている冬の蛾を撮影したりしながら、山頂へは1時間ちょっと。この山頂の展望台からは日本海と月山と鳥海山が眺望できた。
 山頂まであまりにあっけなくついてしまったので、下山は高舘山と鞍部つながりの、お隣の八森山(204m)にも登頂。小さな山だが渓谷があり、樹木の表情が豊かで、秋枯れの山をたっぷり楽しむことができた。小さな山なのに、まるで2000m級の山深く迷い込んだような雰囲気すらある。
 下山後は酒田市に移動、土門拳記念館のある飯森山にも登る。登るといっても41mの丘だ。この頂上にある経緯度観測点のコンクリート台座は、昭和3年に寺田寅彦の提唱で「大陸移動説」を証明するために設けたもの。ほかに象潟の三崎山(161m)、飛島の柏木山(58m)の、この3地点を結んだ二等辺三角形に観測地がある。先日、三崎山はやぶの中に確認したし、飛島は毎年柏木山に登っているから確認済みだ。土門拳記念館や南洲神社にはしょっちゅう行くのに肝心の飯森山へは一度も登っていない。今回で念願成就というわけだ。

 昼は高舘山の近くにある「寝覚屋半兵エ」という店で「麦切り」を食べた。麦切りは太いうどんをちょっと黒くしたようなもの。芥子をつけて食べるのだが味はうどん。麦切りは大麦粉が原料の麺のこと。なのに鶴岡市観光協会の紹介では「小麦粉が原料。絹を入れコシを出し滑らかな食味」と書いていた。これは「切り麦」と混同しているのではないのか。切り麦はうどんと同じ小麦粉。太さで冷や麦かうどんに識別される。
 温泉は飯森山のそばにある「かんぽの郷酒田」。夜はSさんの奥さんも合流、いつもの中華料理屋「香雅」で打ち上げ。泊りはいつものリッチ&ガーデンホテル。東北でも指折りのホスピタリティを誇るホテルで、泊まるだけで気分がいい。

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