No.132
10年前の矢島側の登山口を探して
[八塩山(713m・東由利町――2016年5月4日)]
 鳥海山(七高山)登山だったが、あいにくの雨模様で中止になった。GW真っ最中なのでみんな(モモヒキーズ)ひまを持て余している。鳥海山は高山なので雨の登山はリスキーだが、低山なら少しぐらい雨が降っても楽しく登ることができる。合羽を着て雨に煙る森を歩くのは、けっこう気持ちが落ち着き、気分がいいものだ。
 急きょ雨でも楽に登れる八塩山に登ることにした。八塩山には三日前にも登ったばかりだ。そのとき山菜のありかをチェックしたSシェフが、それを採りに行きたがっただけ、という声も聞こえるが、三日にあげず同じ山に連続で登るのは初めての経験だ。

 八塩山は何回登っても新しい発見があり、気持ちが素直になれる心優しい山だ。この山に好印象があるのはファーストインプレッションがよかったからだ。10年前(2007年)、故・藤原優太郎さんに連れて行ってもらった矢島口(坂之下)から登る八塩山のすばらしさに魅了されて以来、この山のファンになった。でもこの10年、その矢島口からの登山は一度もない。登山口まで遠いから八塩山といえばもっぱら東由利側の前平登山口から、というのが定番になってしまった。
 そこで今日は、いつもの前平登山口から登る前に、今後の事前偵察も兼ね矢島側登山口の探索に出かけることにした。
 矢島は遠い。10年前と同じように道に迷い、集落の人に場所を聞き、悪戦苦闘しながら、登山口の目印になる国際座禅堂までたどり着いた。でもこの近辺にあるはずの登山口は見つけられなかった。この座禅堂までの記憶ははっきりあるのだが、きれいな木造の階段のある登山口まではわからなかった。今年中には矢島側から八塩山の頂に立ちたいものだ。

ブナがきれいな山だ

この山はイワウチワの宝庫
 矢島まで遠出したのがよかったのか、前平から登山開始のころには雨はすっかり上がっていた。天気予報は見事外れだ。
 山菜に夢中の人たちをしり目に、黙々とひとり山頂へ。50分で山頂についてしまった。ひとりっきりで登る山というのも魅力がある。沈黙と山は相性がいい。
 下山は3日目前とは別の風ぴらコースを降りてくる。こちらのコースもなかなか魅力的だ(前回の下山コースを風ぴらと書いたがあれは間違いだった)。
 それにしても八塩山は山菜の宝庫だ。由利本荘地方の人たちにとって山菜といえば「サシボ」のこと。そのせいか手つかずのコシアブラやハリギリがどっさりとあるのだそうだ。

 温泉は黄桜温泉。私だけでなく、この温泉というだけで、ちょっと歓声が上がるほど。みんな同じことを考えているんだ。

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