No.135
タケノコ採りはうるさいが、田代岳はいい山だ
[田代岳(1178m・大館市――2016年6月12日)]
 朝4時起きで、集合場所の北インターを5時に出発。田代岳は2シーズンぶりだ。以前から大好きな山で何度か一人で登ったこともある。コースはシンプルで急峻な登りもなく、淡々と歩きやすい登山道が続く。すばらしい初心用コースなのだが、旧田代町から登山口までのアプローチが1時間。これが最大の難点で舗装もなく車の腹がついてしまうデコボコ道だ。
 田代岳はタケノコのメッカでもある。形も味も一級品で、この時期はものすごい人出が予想される。
 一昨年のこと。皆がタケノコ採りをしているあいだ、暇なので大木に寄り掛かって休んでいた。タケノコ採りに興味がないからだ。その寄り掛かった大木にウルシがびっしり、見事にかぶれ苦い思いをした。 
 その経験から去年は田代岳をパス。今年はどうしようかと迷ったのだが、登山口がいつもの荒沢口ではなく大広手口というのが決め手になった。この大広手登山口にも苦い思い出がある。7年ほど前、一人で荒沢口から登り下山時に4合目分岐で間違えて大広手口に降りてしまった。もう夕方で、あたりはうっすらと暗くなりかけ、道を間違えたと気が付いた時は、かなり下まで降りてしまった後。そのままどうにか大広手口にたどり着いたが、そこから荒沢口の駐車場までが遠かった。たぶん2,3キロはある山道をトボトボ心細さと戦いながら歩いた。大広手は自分のミスが招いた思い出の登山口なのだ。
 その時の記憶とは違い、大広手口からの登りは平坦で川のせせらぎに耳を傾けながら登る、風情豊かなコースだった。こんな平坦なコースを当時は恐怖(熊)と不安(迷路)と悔恨(ミス)にうちのめされながら歩いたと思うと笑いたくなった。
 4合目から山頂までは、まったく楽しめなかった。山の持つ静寂や鳥の声、木々の霊気がすっかりタケノコ採りの大音量のクマよけサウンドやラジオでかき消されていた。ものすごい数のタケノコ採りたちが山中に跋扈していた。

これが大広手口登山口

5合目で読書中
 下山はこちらもタケノコ・フリータイム。興味のない当方は5合目まで一挙に下り、そこで皆を待つ。そのために読む本まで用意(村上春樹「ノルウェイの森」)していった。森の中で横になり、本を読み始めたらすぐにウトウトいびきをかいて寝てしまった。山中で本を読んで熟睡するというのも初めて経験だ。

 温泉はたしろ温泉ユップラ。清潔で明るい空気感が好ましいが、最大の欠陥がシャワー。10秒ほどしか水を出さないから、ひっきりなしに水道ボタンを押し続けなければならないのだ。まともにシャンプーができないのだから始末が悪い。こんなところをケチって何か特があるのだろうか。このシャワーの件だけで、ユップラを嫌がる人がいる、という現実を経営者は知るべきだ。

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