No.147
獣臭立ち込める落葉の道の心地よさ
[八塩山(713m・矢島町――2016年11月6日)]
 待ちに待った2か月ぶりの山行は八塩山(矢島登山口)。今年3回目だが、登山口を「発見」したのが今年だ。10年以上前に一度上った記憶はあるが、そのやわらかな木々の表情や景色の美しい空気感にすっかりはまってしまった。なだらかなアップダウンが続く往路に2時間半、復路が1時間半。ずっとおしゃべりを続けながら歩けるハイキング・コースだ。
 前夜は激しい雨。中止も予想されたが3名だけの少人数なので決行。登っているうちに青空が広がり紅葉がいまだ残っている山を心ゆくまで味わってきた。山の紅葉を見ないまま年を越しそうな気配もあったのだが、これで満足だ。
 人が入っていないせいか登山道のいたるところでものすごい獣臭がした。クマではない可能性もあるが、恐怖心と一体となり獣臭のたびに緊張が走った。クマは確かに怖い。でも鈴や笛でこちらの存在を事前に教えれば逃げてくれる。いきなり馬小屋か動物園に放り込まれたような獣臭は、フラリと秋の山を楽しみたいとおもう気持ちを萎えさせる。クマのことを知れば知るほどひとりの山行は無謀だと思うようになった。早く冬眠してほしい。
 それにしても山は不思議だ。前夜にあれだけ雨が降ったにもかかわらず、落ち葉がカサカサ音を立てるほど山は乾いていた。どんだけ吸収率がいいんだ。

紅葉がまだ楽しめる

山頂のシンボルの木も元気
 温泉は大内の「ゆぽぽ」。もしかすると一年で最もよく行く温泉かもしれない。登山後の温泉も気持ちいい。家に帰って久しぶりにビールも飲んだ。汗をかかないと温泉もビールも飲んではいけない、というわが鉄則である。左ひざは完治といっていいようだ。
 久しぶりの山行から一夜明けた。昨夜は熟睡、目覚めもさわやか。身体の中に溜まっていたモヤモヤが新しい空気と入れ替わった。

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