美林と奇岩と縄文遺跡 |
[七座山(287m・二ツ井町――2016年12月4日)] |
今日も3人の少人数。リーダーのSシェフのリハビリ登山にお付き合いである。途中、能代市・小友沼で羽根を休める渡り鳥(白鳥やガン)を見に行く。県外から何人かのカメラマンもいた渡り鳥のメッカである。 この時期に七座山は珍しい。紅葉か冬山のシーズンに行くのが普通だが直近で30分もあれば山頂(権現岳)に着ける。それではリハビリにならないので、今回は天神貯木場跡から登りはじめ権現様から法華の岩屋を経て山頂に至る、約1時間半のコース。 途中の秋田杉の巨木や奇岩の数々は何度見ても圧倒される。特に天然杉の巨木は平均樹齢200年というのだから驚く。江戸中期には何度か伐採されているが、それ以降は神社奉行の保護を受け、信仰対象として伐採が明治に入るまで禁止されていた。明治に入っても保安林という形で保護の対象にされたのが功を奏している。奇岩の数々も見どころ満載だ。これはどうやらケスタ(軟らかい地盤が固い地盤にもぐりこんで、そこを盛り上げてしまう)と呼ばれる地形によるもので奇岩(露岩)は造崖層なのだ。 下山は権現倉から烏帽子倉を通り、蓑倉にある展望台の前まで縦走、そこから鉄の階段を下山してきた。途中の山神様でランチ。
発見当時ノコノコと発掘現場をひとりで見学に行ったのを覚えている。その現場もいまは埋め戻され立ち入り禁止になっていた。そのかわり現場の横にりっぱな資料館『縄文館』がオープンしていた。20分の紹介ビデオもわかりやすくて退屈しなかった。館内のレイアウトもシンプルで好感が持てたが、展示物の解説や解読が少ないのが物足らない。わからないことが多いからだろうが、突飛な解釈をされるよりは想像力の翼を広げることができる。 それにしてもすごいのは、縄文時代に「農耕」に依拠しないで狩猟や漁労、採集によって1万年もの長きにわたり営まれた文明、という点だろう。世界4大文明といわれるインダスやメソポタミア、エジプトといった場所はすべて農耕や牧畜で栄えた文明だ。それを持たず維持された新石器時代の文明というのは世界史的にも稀有だ。あらためてこの遺跡のすごさに目を見張った。山行帰りに頭のトレーニングもすっかりしてきた気分。 |