初登頂であわや遭難寸前 |
[二ッ森(306m・秋田市河辺――2017年3月12日)] |
私にとっては未踏峰の山。ユフォーレのある岩谷山対面にある二ッ森は、ふだんはやぶ山で人間が入るのは困難な山だ。もちろん登山道もないし作業道路もない。そんな山が、雪が降ると絶好のスノーハイキングのロケーションになる。どこからどのように登ってもいい。 今日はカンジキよりもスノーシューだ。平坦な道が少なく雪はまだ堅くなっていない。カンジキだと腰まで埋まってしまう可能性がある。 登山道はないのでルートはない。この山が2度目のSシェフは慎重に地図を見ながら進路を決めていく。これまで対面にある岩谷山から何度も山容や登山用のルートをイメージし、自分なりのルートを構築し、実際に登ってもいる雪山だ。 登りながら何度もSシェフは「こんな場所あったかなあ」と首をかしげ、地図とにらめっこしながら登っていく。平坦なところはほとんどなく、ひたすら急斜面の登りが続く。 先頭を行くSシェフが斜面でガクリと膝を落とす行為を繰り返している。NDRだ。ニー・ドロップ・ラッセルの略で命名者は私。要するに斜面に膝で踏み跡をつけ、そこにスノーシューを置いていく、Sシェフ考案の急斜面用ラッセル法だ。なかなか便利で使える。 2時間弱でどうにか山頂に到達。山頂は広い平地になっていた。 下山は登りとは違うルートで帰ることにした。登りがあまりにきつかったせいもある。ところがこれが裏目に出た。降りる沢筋を一つ間違えてしまったのだ。
しかしこれ以上沢筋を歩くのは危険だ。斜面にとりついて登ることにする。視界が開けない恐怖からだ。ここでもう一度スノーシューを履き、汗と雪で濡れた手袋を新しいものに代えた。登り始めるとすぐに杉林の隙間から麓の民家が見えた。助かった。そうか、こういう時はとにかく登って周辺を俯瞰するのが大事なのだ。 久しぶりに冷や汗の下山タイムだった。雪山は怖い。 |