古道のブナ林を歩く |
[仙北道(秋田県東成瀬―岩手県奥州市胆沢・2017年8月27日)] |
朝3時起床。前日、「大曲の花火」があり帰る客の渋滞が午前4時ころまで続く、とNHKニュースが報じていた。渋滞に巻き込まれれば出発時刻に遅れてしまう。なにやかやと準備に手間取り大曲の高速道は4時半ころに通過。予想に反してラッシュは終わってスムースに東成瀬到着。8月下旬なのに気温は12度。あまりの寒さに山用のレインウエアーを引っ張り出す。 集合場所で開会式があり、そこからマイクロバスに乗り込み30分ほど山道をはしり林道終点地点へ。今回の参加者は30名で私は3度目の参加になる。 本来の「仙北道(せんぼくみち)」は、東成瀬村手倉から岩手県下嵐江までの24キロ(約6里)を言う。今回の現地調査は秋田側林道終点地点から、手側大寒沢林道終点までの約12.3キロのダイジャスト・ルートである。 7時10分、村の長老による、マタギの儀式にのっとり山への感謝と無事を祈る神事がありお神酒をささげ出発。参加者30名の打ち明けは岩手側4名、私のように村外の県内各地からの参加者7,8名、残りが東成瀬村の人たちである。主催は村の教育委員会だ。 歩き始めて10分も立たないところに仙台藩と秋田藩の藩境塚があった。この峠のイニシアティブが仙台藩側にあることを物語る距離だ。仙北道の約9割は仙台領に属する地域である。1時間20分、街道の最も標高の高い柏峠山頂(1018m)に到着。といってもスタート地点の姥懐(林道終点)がすでに800mをこえる標高があるので、平坦な気持ちのいいブナ林をゆっくりと200m登っただけで最高峰に到着である。柏峠山頂からは山ノ神、巨大ブナがある粟畑、中山小屋と標高を下げながら街道の中間地点ともいえる小出川の河原に出る。小出の越所と呼ばれる、古の旅人たちの宿泊地でもある。 ここまで4時間、水量の増した川を見ながらランチ。前日までの大雨で水位は増し渡渉では長靴にジャブジャブ水が入ってくる。この峠は登山靴では無理だ。なにせ大小取り混ぜて渡渉が9回近くある。その都度登山靴を脱いでいれば日が暮れる。 小出川からは本格的な山登りになる。標高570m地点にある谷川から今度は一挙に934mの大胡桃山までの登山になる。ここが最もきついところ。ひとり遅れる人が出た。初めて参加したという40代の女性教師だ。縦走なので山歩きのように引き返すわけにいかない。リーダーたちが女性の荷物を分担、身軽になった本人を先頭にすえ、ゴールまで歩き通させる作戦だ。
約8時間のブナ林の気持ちのいい古道歩きだ。ゴールには横断幕と冷たい飲み物と、東成瀬村に帰りのためのマイクロバスが待っていた。 |