No.202
楽々の登頂で、拍子抜け?
[鳥海山(遊佐町・2236m・2019年4月29日)]
 今日は鳥海山払川直登ルート登山。朝3時半に起き、4時半に出発、7時20分には登り始めた。駐車場は県外ナンバーの車でいっぱい。みんな山スキー組で登山はほとんどいない。
 とんでもない青空でかつ無風という、これ以上ないコンデション。3名の少数での山行だ。
 こんな天候に恵まれた鳥海山も珍しいと思うのだが、実はこの3年ほど山頂には立っていない。そのためこの山に来るのが苦痛になりつつあった。いつも8合目の避難小屋や、その少し上で天候不順や強風のために引き返してきた。自然条件ばかりではない。8合目を過ぎると途端に足腰に異常が出る。ほとんどが太ももの痙攣で身体全体が攣ってしまいそうになったこともある。9合目周辺のことは思い起こすのもつらい経験しかない。頭の中は真っ白で、ただひたすら登っているだけ。「必死さ」と「辛さ」の2つのみが山の記憶としてセットされてしまっている。だから逆に言えば「この山さえ登れたら、あとはどんな県内の山も楽勝だ」という強い自信につながるのも間違いない。
 でも毎年、馬齢を重ね体力は落ちていく一方だ。この鳥海山が登れなくなれば、あとは体力も気力も坂道を転げるように落ちていくだけ。
 そんなふうにこの山は自分の「老後のメルクマール」のような山でもある。
 今年こそは何としても山頂に立ちたい。そのためには周到に用意や作戦を立てる必要がある。まずは前日によく眠られるように配慮すること。飛ばしすぎをふせぐために最後尾で徹底的にマイペースを維持すること。痙攣防止用に芍薬甘草湯をはじめて持ち込み服用すること。この3つが功を奏した。
 登り始めからスローペースで何度も意識的に休憩をいれた。そのたびに水分を補給しアミノバイタルや甘草湯を補給した。
 問題の8合目を通過しても疲れはまったくない。9合目を過ぎたあたりから両腿に少し張りが出てきたが、歩幅を狭く、呼吸を整えながら(深呼吸)歩くうち、張りは消えた。

スタート前の緊張

山頂にて
 そして4時間20分で山頂へ。信じがたいことに山頂でもほとんど疲労感がない。以前なら山頂にたどり着くと同時に倒れ込むほどの疲労感があり、下山ではきまってすさまじい全身痙攣が襲ってきた。
 なんとなく登山のコツのようなものを、今日の鳥海山で会得したような気分である。登っている最中に苦しくてやめたくなったり、下りの痙攣に悩まされることもなかった。
 山歩きをはじめて15年、鳥海山に楽々登れたというのはまったく初体験である。
 下山して、GW中にもう一回登りにこよう、と思った。いやいや、これは調子に乗りすぎだろう。
 今年の前半の大きな目標のひとつをクリアーした。個人的にはすばらしいGWは迎えることができた。
 温泉は大内の「ぽぽろっこ」。山では痙攣がなくとも、下山後の温泉でいきなり痙攣が来ることもあるのだが、温泉でもそうした兆候は一切なし。なんどか近所の低山に行ってきたような調子で、自分でもちょっと怖いほどだ。この時期、鳥海山の山頂に立つことは個人的には大きな意味があり、自信にもなる。今年もいろんな山にチャレンジできそうだ。

 夜、何度か顔が痛くて目が覚めた。早々とこの日は夜8時半には床に就いたのだが、日焼けした顔と唇がバリバリ音を立ててこわばり、夜中に鼻水まで流れ出したのだ。寝ては覚めての繰り返し。しばらくはこの「雪焼け」後遺症に悩まされそうだ。それにしても筋肉痛はまったくないのだから不思議だ。

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