またしても雨にたたられ、タケノコ採り |
[田代岳(1117m・大館市)――2014年6月15日] |
夜半から雷を伴うすごい雨。集中豪雨のような激しい雨音で何度か目を覚ました。これで山行はあるのか、とはつゆも疑わなかった。なにせ今日の田代岳はタケノコの宝庫で有名な山。タケノコ採りが主目的で登山は二の次なのだ。中止になるわけがない。 雨具に長靴を履いて準備万端、藪に入ってもこれで問題なし。やはり誰一人、集合場所に来ても山行中止を言いださない。去年は行けなかったが一昨年もこの時期にタケノコ目的で田代岳に登った。そのときも雨、8合目で引き返している。まるで同じ状況だ。 今回の計画は荒沢コースから山頂に至り、そこからさらにお隣の雷岳(らいだけ)にも足を延ばしてみようというもの。9合目には100以上ある地塘があり、その探索も楽しみだ。地塘には「神の稲」といわれるミツガシワが咲いている。その可憐な花が何年かぶりに見られるかも。 登り始めても雨脚はいっこうにゆるくならない。原則としてタケノコ採りは下山時と決めている。1時間半ほどでどうにか8合目まで登り着き、ここからはタケノコ採りをしながら下山する、と声高らかにリーダーが宣言。断念だから嘆息が漏れてもおかしくないのだが、逆に「やったっ」という心の中のガッツポーズまで想像される人物もいた。
田代岳のタケノコは「ブランド品」だ。白くて柔らかく甘いのが特徴。秋田県では最高級のタケノコの宝庫なのだ。 一人まったくタケノコに興味ない私だけが登山道に残り、笛を吹いて場所をナビゲートする役目。初めて知ったのだが、登山道を外れ藪に入ると、99%、山のプロですら方向感覚を失う。東西南北がわからなくなり、登山道に戻ってこられなくなるのだ。登山道からわずか10m外れただけで、自分がどこにいるのかわからなくなる。信じられないが本当なのだ。タケノコ採りでの遭難が毎日のようにメディアで報じられる意味がよく分かった。 タケノコ採りをしながら少しずつ山を下りていく。今日はスパイク長靴で大正解だった。雨はいつまでも降り止まない。なすこともなく、藪に分け入った仲間たちを登山道で待つ間、ぼんやりとしていたのだろう、ウルシの木に寄りかかってしまった。首筋に赤い斑点ができた。油断してしまった。ウルシにかぶれたのかも。 ランチは5合目で採れたてのタケノコ鍋だ。美味しかった。 * 温泉はたしろ温泉「ユップラ」。ここも天井が高くて好きな温泉だ。心配だったウルシがぶれは、もう決定的だ。首筋が真っ赤になり、かゆい。Sシェフの診断で「まちがいなくウルシ」と断定されてしまった。 自分でタケノコはとれなかったが翌日、Sシェフからおすそ分けの瓶詰をいただいた。さっそくスキヤキ鍋に入れ食べた。柔らかくて絶品の味だった。 |