No.74
初めての遅刻、駆け足の山
[駒ヶ岳・乳頭山縦走(田沢湖町)――2014年7月6日]
 秋田市の集合場所に5時まで行き、そこから車を乗り換えて登山口まで向かうのだが、4時起きの目覚ましを間違えて5時にセットしてしまった。何も気がつかず起きて歯を磨いていたら、カミサンも起き出してきた。やけに早いなあと思ったら、「もう5時よ。遅刻じゃないの」と言われた。1時間遅く起きたことに初めて気がついた。
 もう集合場所に行っても出発した後だ。10分以上は待たない、というのがモモヒキーズの鉄則遅刻ルールだ。登山口まで直行で後を追うことにした。1時間ぐらいなら、うまくすれば追いつけるかもしれない。
 全速力で高速道に乗ったのはいいが、気ばかり焦ってインターチェンジを間違えてしまった。協和で下りるべきところを横手まで走ってしまったのだ。頭が正常に動いていない。急いで大曲まで戻り、そこから普通道を田沢湖に。田沢湖高原駐車場にはリーダーの車があり、もう出発した後だった。すぐバスに乗り駒ヶ岳8合目へ。降りると準備もそこそこに縦走ルートを一目散に駆け出した。何度も来ているので登山道は頭に入っている。他のメンバーたちは序盤はお花を見ながらゆっくり旅だ。必ずどこかで落ちあえる。はたして最初のピーク笹森山山頂で、無事、追いつくことができた。

初めての千沼ヶ原で

山頂にて
 30分以上駆け足での山歩きだった。息が切れたが、まだまだ先は長い。
 きれいに晴れ上がった笹森山から湯森山へ。このあたりで呼吸も落ち着いてきた。いつものペースを取り戻し、ようやく笊森山へ。そこからさらに千沼ヶ原に下りた。ここは実は初めての場所だ。この湿原で珍しい花をたくさん見て、いよいよ本命の乳頭山へ向かう。もう歩き始めて3時間を過ぎ、ちょうど昼時なので、山頂を横目に見ながらランチタイムをとることにした。
 そしていよいよ乳頭山頂へ。下りの多い縦走なのだが、乳頭山直下は登りが1時間ほど続く。この縦走のハイライトと言っていい。
 乳頭山までは4時間半、終点の孫六温泉までは3時間近い下りの行程だ。難易度の高い縦走ではないし、一人で何度か来ている慣れた山だが、とにかく歩行時間が長い。疲労度も半端ではない。それでも何度かの縦走経験の中では今回が一番楽だった。前月の庄内散策から軽いハイキングシューズとザックにかえたのが功を奏しているのだろうか。ストックも1本だ。
 孫六温泉に下りて、そこの駐車場に止めておいた車に乗せてもらい田沢湖駐車場へ。
                     *
 温泉は駐車場のある「アルパこまくさ」。白濁した秘湯っぽい温泉系だ。設備は現代的で明るくモダンなのだが泉質は乳白色の濁ったお湯。山の後は普通の温泉でいい。温泉に入っていて、ある疑問が頭をかすめた。浴槽ではタオルを頭にのせてはいる。どうして頭に乗せるのだろうか。昭和40年50年代ころの映画を見ると平気でタオルを浴槽に入れている。衛生上の理由から、このあたりを境にタオル入浴が禁じられたのだろう。でもなぜタオルを頭にのせるのだろう。タオル置場があればいいのではないのか。いや、前を隠すため身につけている必要あり、という理由もあるか。江戸時代はフンドシが貴重品(レンタルまであった)で、入浴時は盗難防止で頭に巻いてはいった、という。ふんどしの頭まきである。もしかしてこれがタオル頭のせルーツ? なんてことはないよね。

それにしても今回の遅刻はまずかった。みんなからは「なぜケータイが通じない。みんなに迷惑をかけるからもつべきだ」と批判された。ふだんはケータイを持っていない。そのため緊急連絡をとらなければならない状態をできるだけつくらないよう注意して生活している。が、ときにこうしたミスをする。みんなには心配をかけてしまった。申し訳ない。平身低頭するしかないが、だからといってこれからケータイを持とうとは思わない。とにかく電話が嫌いだ。でも、この不ケータイって、なんだか喫煙者の立場と似てきた。そうか喫煙者の立場って、こんな感じなんだ。
もうひとつ。みんなに迷惑をかけていたのに、まったく誤解していたことがあった。先月の神室山で、「神室ではなく前神室に登るのが目標」だと思っていたが、そうではなく、私がケイレンが起きたために、本来は神室山に行くところを中止にし、前神室に向かったのだそうだ。いやぁ、申し訳ない。迷惑をかけっぱなしの私です。

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