No.75
トラウマを薄れさせてくれた鳥海山
[鳥海山新山(2236m・山形県遊佐町――2014年7月21日)]
 3連休最後の休日は朝3時起き。夏とはいえ外は真っ暗。4時ちょっと前から東の空が明るみはじめた。
 今日の山は鳥海山。鉾立口から新山までだ。天気は悪くない。うす曇りの絶好の登山日和。風もあるし鉾立山荘ですでに標高1160メートル、夏の暑さとは無縁の世界だ。
 朝6時、鉾立山荘登山口を出発。順調に高度を稼ぎ、足に負担のかかる石畳の道を2時間で御浜小屋へ。ここは人がいっぱいなのでスル―、お花畑で有名な御田ヶ原まで一挙に駆け上がった。2週間前も友人たちとここまで登ったばかり。
 ここからが本番だ。行きはよいよい帰りは恐いの八丁坂を下り、七五三掛から雪渓の残る千蛇谷へ。千蛇谷の雪渓を超えたあたりで突然雨が降ってきた。カッパを着るが、風があるので、それほど暑苦しさを感じない。
 御浜小屋からは二時間半で大物忌神社に到着した。御浜からが本格的な登山になる、という感じだ。
 登山口からは4時間半。山頂は神社から15分位の岩山にあるのだが、雨で岩が滑りそうなので断念。これはリーダーの冷静な正しい判断だろう。誰かひとりでも滑落すると大けがをする可能性がある。危険を回避する判断が山では最も大切な能力だ。神社でランチをとり、1時間以上たっぷりと休息した。これも朝早く出立したおかげ。

 下山も快調。すれ違う登山客が多いので、けっこう人疲れする。いろんな人たちがいる。巻きスカートにスパッツ姿の山ガールが多いが、よく見ると顔はオバさんだ。
 御浜小屋を過ぎたあたりで8名ほどの若い外国人たちと会った。ほとんどが半袖半ズボン、サンダルまがいの軽装で、靄のかかった岩場で寒そうに停滞していた。国際教養大のY君が同行していたので得意の英語で話しかけると、登山を続けるか下山するか迷っているとのこと。この軽装ではとても無理と下山を促す。

 下山は3時間半。合計8時間ほどの山行になったが、キジ撃ちなし、息も上がらず、ケイレンもなし。おまけにハイキング用軽登山靴だったが、岩場でちょっと柔らかさが気になった程度で、下山時の楽チンさは重い登山靴と比べて問題にならない。でもやっぱりこのぐらいの大きな山になると足首や岩場には気を使う結果になった。軽い登山靴は楽チンだが、安全性に問題がある、ということがよく分かった。

登山道は人人人

大物忌神社で記念写真
 今回の8時間近い山行で、先日の神室山トラウマ(痙攣)がようやく薄らいだ。けっきょく週一回十分に休養をとって山に行く、ということが自分にとっては大事なサイクルだ。神室山の時は2日前に雨の田代岳に登っている。あれが筋肉に大きな負担をかけてしまった。過信は怖い。
 それと昔に比べて明らかに暑さが苦ではなくなっている。汗っかきの体質なのだが、山でかく汗に慣れてしまうと、汗せんの影響なのだろうか汗をかきずらい体質に変化するようだ。「風」のありがたさも身にしみる。暑さの中でのきつい登りも一陣の風で快感に激変するのだから、すごい。逆に風のない夏山はつらい。冬山の風は吹雪や雷よりも「恐怖」だが、夏の風は大好きだ。
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 温泉は国道沿いにある象潟のホテルの日帰り温泉。これが大失敗。露天風呂は休止中だし、シャワーの水圧は極端に弱い。脱衣場も備品類もうらさびしく汚れている。ホテルそのものが老朽化していて清潔感がみじんもない。ここはちゃんと覚えていて2度といかないようにしなければ。
 ちなみに温泉は、洗い場も脱衣場も狭く暗い「秘湯」の類より、清潔で明るく近代的なほうが好き。はいり方は、まっさきに洗い場で身体の隅々まで洗い、それからおもむろに入浴し、カラスの行水で即脱衣場へ、というパターンだ。

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