南面の、今までとまるでちがう鳥海山 |
[鳥海山(2236m・山形県遊佐町――2014年10月7日)] |
東京から帰ってきたとたん鼻水が止まらない。頭もボーっとしている。風邪をひいたようだ。東京は残暑が厳しく、ホテルではクーラーをつけっぱなしで寝てしまった。あれが悪かったのだろうか。栄養剤を呑んで安静にして夜の8時には寝床に入った。大量の寝汗をかくが、眠られなかった。 翌日、電車で酒田市へ。大阪の友人たちと鳥海山に登る約束をしているのだ。 体調は安静のおかげでだいぶ良くなったが、山だけは登ってみないとわからない。 今回は初めて鳥海山の湯ノ台ルート(滝ノ小屋登山口)を登る。山形県遊佐町側から見る鳥海山南面は、秋田県側から見るいつもの鳥海山とはまるで違っていた。荒々しく、景観は雄大で、庄内平野や日本海が一望でき、紅葉がまっ盛りだった。 朝8時という遅いスタート。これは前日宿泊した自然保養施設「しらい自然館」の朝食時間が6時半だったためだ。やむを得ない。快晴だが、スタート時間が遅いので、山頂(七高山)まで行けなければ、行けるところまでで引き返してくる予定だ。その時間的目安は伏拝岳12時前着。下山にもたっぷり時間がかかるため、鳥海山にはこうした時間的制約がある。みんな山頂に立ちたい一心で、ほとんど休みを取らずに登り続ける。大雪渓や小雪渓を横目に、黙々と山頂目指して歩き続ける。平日のせいか、登山客は少ない。前日、日本列島を大きな台風が襲った影響もあるようだ。 雪渓が消えると、いよいよこのコースのハイライト、あざみ坂。急坂だが登山道の石畳階段が規則的で、その前の石ころ不規則ゴロゴロ道よりリズムがつくりやすい。とはいっても鳥海山の石道は本当に体力を消耗する。
メンバーの一人がどうしても新山の山頂にも立ちたい、と言いだした。リーダーのSカメラマンが同行することにする。 山頂手前で大急ぎで宿の弁当の昼食。新山組と合流し、すぐに下山準備に。鳥海山の石道は登りにくいし下りにくい。特に下山時のこの石の硬さが足腰に与えるダメ―ジはかなりのものだ。下山でへばる人が多いのだ。あざみ坂の急坂を下りる途中で、左足の親指が痛くなった。2か月ほど前に登山靴を新しくしたのだが、靴が合わないらしく親指の爪の中に内出血ができた。そこがまた痛くなってしまったのだ。 よたよたしながら、て暗くなる直前の夕方5時、やっとのことで下山。 それにしても、いつ、どんなコースを登っても楽な鳥海山というのは、ない。私の近辺の山では最もきつくてしんどく難しい山だが、年間で最も多く登る山でもある。懐が深く、自然が複雑で、山の楽しみと苦しみをたっぷり味わわせてくれる。今年になってからでも鳥海山は6回登っている。おこがましくてとても「好き」と言えるようなレヴェルではないが、やはり年に数回はいろんなコースから登らないと消化不要をおこしてしまう山だ。 今回は温泉はなし。宿泊先の「しらい自然館」に戻ってお湯に入り、普通の夕食をとる。明日はレンチャンで月山トレッキングの予定だが、左足親指の内出血がひどく、明日はキャンセルすることにした。 |