No.86
浦城跡を探訪し野点になべっこ遠足
[高岳山(231m・八郎潟町――2014年11月9日)]
 今回は盛りだくさんの山行だ。山行というほど大げさな山ではないか。
 八郎潟町のランドマークである高岳山は標高231メートル。登山口から山頂まで1時間もかからない小さな山だ。そんな山だが今回の企画の内容は濃い。
 山頂にある副川神社は延喜式内社のひとつで、県内には三つしかないうちのひとつ。ここが日本の最北の神社である。

 登りだすと、もうあっという間に山頂。でもここからが今日の山行の本番だ。山頂から、今度は隣の山に下りながら移動。そこには戦国時代の三浦市の居城・浦城跡がある。浦城跡は八郎潟町と五城目町の境界地域にまたがっていて、きれいに整備され散策コースがもうけられている。ここでは現地のNPO法人「浦城の歴史を伝える会」の小玉直子さんに案内をお願いした。一通り散策コースを回り、本丸のある場所に建てられた小屋で昼食。これが今回の山行の本番なのだ。
 ここで「だまこ鍋」チームと「野点」チームにわかれ準備にはいる。鍋、釜、食材、茶器から掛け軸まで、すべて事前に準備。このへんがモモヒキーズの真骨頂。なかなかここまではできそうでできないのだが、Sシェフを中心にそれぞれが自分の持ち場を認識している。
 普段食べるといえばきりたんぽ鍋かいものこ汁。あまり食べたことのない「だまこ鍋」が新鮮で美味しかった。県北部の人たちがよく食べる鍋だが、県南部の人にはなじみが薄い。

これが日本一低い大潟富士

枯れ木を利用したアートもある浦城跡
 驚いたのは野点だ。掛け軸(軸もの)や花入れまで準備した本格的なものだった。お茶の師範代代理補佐・F女史の並々ならぬ意気込みが感じられた。軸の色紙はなんと会津八一。「おほてらの まろきはしらのつきかげを つちにふみつつ ものをこそおもへ」と格調高い。まさか本物の色紙じゃないよね。本物だったら、だまこ鍋を食って「腹折だられね」などとほざいている場合ではない。いやいや、けっこうなお手前でした。
 今回は山登りというよりも「なべっこ遠足」と「野点」と「歴史のお勉強」の会と言っていいのかもしれない。
 温泉は大潟村の中。ホテル・サンルーラル八階にある温泉だ。もちろん初めて。以前、村内の温泉に入った時、あまりに塩素臭くてフロントに抗議したことがあった。あれと同じ黒っぽい泉質なのだが、塩素の匂いはしなかった。小さいが清潔でまとまっていて、いい温泉だ。
 実はこの温泉に入る前に大潟村唯一の「山」にも登頂を果たしている。海抜ゼロメートル(標高もゼロメートル)にある「日本一低い山」と名付けられた「大潟富士」だ。全員で記念写真をとったのだが、この山、富士山の1000分の1(3777センチ)の高さにつくられた円錐形の筑山である。国土地理院に「日本一低い山」として地名申請をしていたのだが却下されたもの。だから「日本一」は自称だが、周辺に山がなくさびしいという入植者らの希望で、人工的につくられた観光の人工山である。

 後日、抒情豊かなこの日の山行を詠んだA長老の苦(いや句です)が山行後、メールで送られてきた。「浦城に つわものどもの 色落ち葉」。お粗末でした。

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