No.88
岩手山を観るために鞍掛山に登る
[鞍掛山(897m・岩手県滝沢市――2014年23日)]
 今日は仙岩トンネルの真上にある県境の山・貝吹岳(992m)に登る予定だった。46号線の仙岩トンネルを抜け、登山口の国見温泉ゲートまできたら、なんとゲートが閉まっていた。積雪のため通行禁止。予想もしていなかった事態だが、事前に確認を怠ってしまったこちらのミスだ。やむなくそのまま46号線を岩手側につきぬけて、岩手県滝沢市にある鞍掛山に向かうことにした。秋田は曇天だったが、仙岩トンネルを抜け岩手側に入ったとたん澄み切った青空の広がるピーカン日和に一転。地域が変わるだけで天気もこれだけ違うのか。
 鞍掛山は岩手山の南麓にあるトレッキング・コース。年間3万人もの登山客がある岩手でも人気の山だ。老若男女だれでも登れる平たんなコースで、ブナやミズナラの林が山頂まで続いている。
 登山口の駐車場には何十台もの車が止まっている。登山者たちの姿がいたるところにいて、秋田でこんなに人気のある山って、ないよなあ。うらやましい。10歳前後の子どもからお年寄りまで、年齢層が幅広いのもこの山の特徴だろう。春の山をいの一番に楽しみたいときは鞍掛山、とわがモモヒキーズでも定番のように言われている。秋田の山は春になっても遅くまで雪が残る。近場では一番早く雪が消え春を楽しめる山が鞍掛なのだ。冬のトレッキングや歩くスキーのメッカでもある。四季に渡って愉しめるオールマイティの山だ。
 雪が深く本格的な冬の装備でなければ登れない貝吹岳の予定だったので、完全冬装備。スノーシュ―に軽アイゼン、手袋も冬用でパンツもスキー用といういでたちは鞍掛山ではまったく浮いてしまう格好だったが、これも不測の事態だからしょうがない。

山頂は岩手山展望台

登山道にクマの糞が
 登りはじめて1時間20分ほど山頂へ。何十人もの登山者たちとあいさつを交わすのが億劫になる。ほとんどの登山者が軽装だが、登り始めてすぐ獣臭がいたるところで濃いのに気がついた。こんな開けた人気の多い山にもかかわらず、獣たちも縦横に行き来する山でもあるようだ。中腹あたりで、真黒な人糞に似たクマの糞を登山道の真ん中で見つけた。大きくはないが明らかにカモシカやウサギなどのものではないクマのものだった。ハイキングコースと侮ってばかりもいられない。にわかに緊張感が走った。
 この山のハイライトは山頂である。すぐそばに岩手山の威容が観られるからだ。岩手山をまじかで観るためにだけ、この山に登っている、といえば怒られてしまうが、岩手山は無理だが、まじかで観てみたいという人にはお勧めのコースなのだ。
 ここでランチをとり、下山は違うルートで下りてきた。楽な登山だったが、なにせ装備が冬仕様、大量の汗をかいてしまった。
 温泉は角館にある「花葉館」。Sリーダーがお気に入りの電気風呂があるからだ。電気風呂は拷問にかけられているようでご免だが、ここの泉質は何となく自分の体質にあっているようで嫌いではない。

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