No5
巨木の森で、雨に追われて
[白岩岳(角館町)―1177m 2012年10月28日(日)]
 10月に入って5回目の山行。紅葉のシーズンは、なんだか追われるように山に行ってしまう。前夜、日本シリーズの巨人大勝をテレビで観て、すぐに風呂に入って寝た。山行の前夜はいつも熟睡できないのがパターンだ。子供時代の遠足前のコ―フン、受験前の不安感の両方を合わせたような「昂ぶり」で眠りが浅くなる。ところが、この日はコトンと眠りに落ち朝まで熟睡。珍しいことだ。気休めに飲んだグリナ(睡眠導入剤ふうの栄養剤)が効いたのかな。
 朝は6時、御所野のスーパーの駐車場に集合、11人の参加者が3台の車に分乗して出発。天気予報は「雨」なのに誰もそのこと言いださない。
 今日の山行はモモヒキーズとその周辺にいる人たちの混合軍。初めてお会いする人もいる。入角沢の登山口を出発、いつ振り出してもおかしくない曇天の中、登りはじめた。すぐに木々をゆする風が激しくなる。これで雨が降れば、世間では「嵐」という。たぶん参加者の大半は「途中で雨が降り、そこで引き返す」ことを前提に登り出したはずだ(私もその一人)。でもなかなかそのことを口には出さない。風はどんどん強くなる。でも雨は降りそうもない。雷までなりだしたが、「もうちょっとで頂上だ」というリーダーの「無理押し」に、苦笑しながら登り続ける。寝不足ではないのに足が重い。なんでだろう。

夢の中のような山道をゆく

紅葉の中の美女
 雨はどうにか持ちこたえて、2時間弱で頂上へ。落ち葉が敷き詰められた歩きやすい山道だった。雨が怖いので山頂には1,2分いただけで下山開始。昼御飯は山腹のシシ小屋跡でとった。このところカレースープに凝っていて、これが食欲亢進につながっているようだ。1時間弱で下山。下りは快調でスピードも出たが、それでも早い人からはかなり遅れてしまう。課題は下りの技術。 
 雨の影におびえてかけ足で下りてきたのだが、白岩岳は巨木が林立し日本一のブナがある場所として有名だったことを思い出した。この巨木は白岩から小影山を結ぶ線上にあるので、今回の登山道では見られないのだそうだ。雨が怖くて、頂上にある有名なシャクナゲの巨木も見落としてしまった。急ぎ山はダメだなあ。帰途の途中で予想通り激しい雨にみまわれたから、大成功の登山だった、といってもいいだろう。
 温泉は田沢湖町のわらび座温泉にある「ゆぽぽ」。駐車場は満杯だったが、なぜか浴場はガラガラ。観劇でもしているのだろうか。そういえば角館の武家屋敷を通過したのだが観光客でごった返していた。あれは紅葉シーズン目当ての観光客だったのか。温泉の後は国道沿いにある産直野菜売り場でイモノコやキノコ、野菜類を買う。これも山行の楽しみの一つ。もともとは家にいるカミサンへのご機嫌取りだったのだが、「道の駅も産直も、近所のスーパーに比べてそんなに安くもない。ものがいいわけでもない」と一刀両断され、以後は水を差された形だが、県内各地にはその場所でしか買えない野菜や果物がある。めげずに買って帰ろう。
 前夜にぐっすり眠られたと。登りながらカメラで景色を撮ることができることになったこと(これまでは登ることに全精力を注いでいたので余裕がなかった。写真を撮るのはもっぱら下山時に限られていた)。この2点が収穫。

backnumber
●No.1 草紅葉の海で、なぜかパエリア
●No.2 贅沢お昼と、お気に入り温泉
●No.3 白神のブナの森を彷徨う
●No.4 南八幡平の自然休養林を歩く

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