大滝を見にスノーハイク、帰りは古民家見学 |
[小又川大滝(秋田市上新城―2013年2月17日(日)] |
県都・秋田市にもまだこんな豊かな自然があったのか。 秋田市のランドマークである太平山系は、標高こそ低い(1170m)が、その山塊には支峰や前衛峰、無名峰がひしめき合っている。今日の小又川もこの山系の前衛峰を縫って流れる川で、水量の割に険しい渓谷をなしている。 今日はこの小又川にある二段滝を目指して、上新城集落のどん詰まりに車を駐車、七名で出発した。集落のはずれに見事な大屋根の古民家があり、雪寄せしていた主人に頼んで、帰りに民家の中を見せてもらう約束をする。 山というよりも緩やかな傾斜が続く林道を登りはじめると、左手の林に何十というクマ棚が目についた。いやおうなく身が引き締まる。冬の林道とは言うものの、ここは紛れもなくクマたちの居住地なのだ。振り返ると雪の中に沈みこんだ何百年も変わらない静かでさびしげな集落が眺望できた。そうか、ここは秋田県「ふるさと名所百景」に選ばれたところでもあった。林道を歩いているうちに、なんと青空が広がりだした。おかげで一級品の風景を堪能できた。 なおも小高い山の間を縫いながら林道を進むが、2時間ほどたっても目的地に着かない。冬の山道はいつもこうだ。さらにここに来るのはみんな初めてなのだ。古民家の主人に「大滝を観に行く」といったら、びっくりしていたのもうなずけた。冬場に来るものはほとんどいないのだ。 何度も橋を渡り、ようやく峠の先に視界が開けた。その左手の谷側深く、あっけないほど小さな滝が見えた。落差13m、その滝下までは崖が急すぎて降りられない。 滝の見える場所で雪のテーブルを作り、昼食タイム。今日も得意の「マルちゃん正麺・醤油味」。生卵を落とし、ネギもメンマも持参、渾身の一杯になった。よほどおいしく見えたのか、慎み深い元高校美術教師Nさんが、「つゆ、のませて!」と懇願してきたほどだ。
これも異状なしだった。こうみえてかなりの臆病者。このとき、もし異常がなかったら、お祝いに好きなものを食べよう、と決めた。検査の前日にアトランダムに書き出してみた。高級料亭料理から自家製湯豆腐まで、いろいろ候補に挙がったが、結論は「山でインスタン・トラーメンを食べる」ことに落ち着いた。「マルちゃん正麺」にネギと生卵を入れガスコンロでアツアツのやつを厳寒の山中で食べる。これしかない。焼肉でもイタリアンでもお寿司でもなく、山で生インスタントラーメン、って決めた自分が一番驚いたほど。 閑話休題。 帰りは1時間、集落について古民家を見学。明治時代に建てられ、大正2年に改築したという。梁の柱や漆喰がほとんど痛まずにそのままなのに、驚いてしまう。人が住み続けているのが幸いしたのだろう。 近辺にいい日帰り温泉がないので(シャワーのない温泉は基本的にアウト)、秋田市のさとみ温泉「温泉センターりらっくす」へ。いつもの温泉だ。 夕方からは山のリーダーのSシェフの料理で「シャチョー室宴会」。今日のメイン料理はサムゲタン。こうした難しい韓国料理を事前の準備もなく簡単に作ってしまえるのがSシェフの真骨頂だ。ダイエット中の小生はひたすら焼酎で「糖質制限」。その傍らでSシェフらは勝手に冷蔵庫から「天の戸大吟醸」をとりだしグビグビ。10キロ減量に成功したら、お祝いにひとりで呑もうと隠していたやつだ。悔しい。少しは遠慮というものがないのだろうか。 |
●No.1 草紅葉の海で、なぜかパエリア |
●No.2 贅沢お昼と、お気に入り温泉 |
●No.3 白神のブナの森を彷徨う |
●No.4 南八幡平の自然休養林を歩く |
●No.5 巨木の森で、雨に追われて |
●No.6 何が悲しくて、遠い県境の雨の山へ(+クマの話) |
●No.7 「キジ撃ち」慣れ、増える体重、初めての山 |
●No.8 雹に雷とスパイク長くつ、是山の山 |
●No.9 賞味期限切れ食品がうまい、きれいな三角山 |
●No.10 生きものたちと出あい、ラーメンうまい雪の山 |
●No.11 はじめての朝市、風格の天然杉、泥土のババ落とし |
●No.12 雪と風とツェルトとストック |
●No.13 「靴納め」はダブル山行、かててくわえて忘年会 |
●No.14 これが今年最後の山行です、信じてください! |
●No.15 桜のつぼみが大きいから、春は早い…… |
●No.16 彷徨っても漂っても、頂上は遠い |
●No.17 動物の足跡がないのは、「なまはげ」がいるからだ |
●No.18 どんな山でも、なにか新しいことを学べるもんだ |
●No.19 「山があるんで、お先に」って言ってしまった夜 |