No24
石仏に村人はどんな思いを託したのだろうか
[房住山(409m・三種町)―2013年3月24日(日)]
 去年の12月初頭に来ているから4カ月ぶりの房住山だ。今回は積雪期の滝ノ上コースを女2名、男2名のモモヒキーズメンバーで登りはじめた。気のあった4,5名で登るのが、余計な気を遣わなくてすみ山は楽しい。
 房住山は鎌倉時代に山岳仏教の一大拠点になった信仰の山。山名の由来もそうしたところからきている。坂上田村麻呂による長面兄弟伝説の言い伝えもある三種町と能代市にまたがった山だ。
 登り口は雪でふさがれていた。ためらいなく和カンジキをはき登りだすが、ほんの数十mで雪は消え、夏道が前方に広がっていた。あちゃ、気持ちを切り替えて、履いたばかりのカンジキを脱ぎ、坪足で再度、登頂を開始。この登り口100メートルで30分近い時間を費やしてしまった。
 それにしても今年の冬は「スパイク長くつ」のお世話になりっぱなしだ。去年暮れに靴底を張り替えた登山靴は、もう4カ月以上履いていない計算になる。はやく靴底の新しい登山靴をはきたいものだ。
 日差しはすっかり春。この山は天然秋田杉が多く、そのため「暗い山」というイメージが強かったのだが、周辺の木々の葉が落ちているせいか透明感のある明るい山に変身していた。葉の落ちた1本1本の木が実に個性的で立ち止まってみとれてしまった。雪が緩んでいることもありズボズボ足が埋まる。歩きにくさもあって山頂までは2時間半かかってしまった。出発時のトラブル分を差し引けば2時間ほどか。
 山頂の小屋は、たぶん秋田では一番きれいで居心地がいい山小屋である。東に森吉山、西に男鹿半島と日本海が眺望できる360度のパノラマもすばらしい。

山小屋にて

ここにも春が
 「マルちゃん正麺」のいつものランチも、清潔な山小屋で食べるといっそうおいしく感じる。女性陣からはおはぎ、Sシェフからは和牛ステーキの差し入れ。いつもながらモモヒキーズの昼食は豪華だ。
 下山は「へんな形をした木々」の写真を取りながら、のんびり2時間。やっぱり緩んだ雪路は歩きにくい。
 房住山は信仰の山だ。33体の石仏が名所だ。この石仏はほとんど1861年に建立されている。時代でいえば明治維新や戊辰戦争の5年前。幕末の争乱期で京都ではドンパチドンパチ騒がしかったころだ。アメリカでは南北戦争が勃発し、福沢諭吉らが遣欧使節に同行したのもこの年だったはず。こんな年に、麓の村人たちは、どんな気持ちでこの石仏を山に運び上げたのだろうか。
                        *
 温泉は小倉温泉。小さいが熱めの泉質のいい湯だ。露天風呂がないのが欠点で、ちょっぴり欲求不満。房住山で観た「へんな木々」の写真を四点、どうですか。

backnumber
●No. 1 草紅葉の海で、なぜかパエリア
●No. 2 贅沢お昼と、お気に入り温泉
●No. 3 白神のブナの森を彷徨う
●No. 4 南八幡平の自然休養林を歩く
●No .5 巨木の森で、雨に追われて
●No. 6 何が悲しくて、遠い県境の雨の山へ(+クマの話)
●No. 7 「キジ撃ち」慣れ、増える体重、初めての山
●No. 8 雹に雷とスパイク長くつ、是山の山
●No .9 賞味期限切れ食品がうまい、きれいな三角山
●No.10 生きものたちと出あい、ラーメンうまい雪の山
●No.11 はじめての朝市、風格の天然杉、泥土のババ落とし
●No.12 雪と風とツェルトとストック
●No.13 「靴納め」はダブル山行、かててくわえて忘年会
●No.14 これが今年最後の山行です、信じてください!
●No.15 桜のつぼみが大きいから、春は早い……
●No.16 彷徨っても漂っても、頂上は遠い
●No.17 動物の足跡がないのは、「なまはげ」がいるからだ
●No.18 どんな山でも、なにか新しいことを学べるもんだ
●No.19 「山があるんで、お先に」って言ってしまった夜
●No.20 大滝を見にスノーハイク、帰りは古民家見学
●No.21 冬は近場にこそ遊び場がある+ついにシュールストロミング開缶!
●No.22 山頂で野点、そうか今日は「桃の節句」か
●No.23 青空、中岳、ひとりぽっち

Topへ