No27
ダブル登山で、県北の春山に酔う
[羽保屋山(593m)・鳳凰山(520m)・大館市―2013年4月28日(日)]
 1日のうちに2山に登ってしまった。県北・大館市にある羽保屋山(593m)と鳳凰山(520m)だ。どうにか天気ももち、雪解けの春山を堪能してきた。県北地方の山は秋田市からは遠い。県南部に比べて道路網が整備されていないのだ。なかなか行く機会がないから、行けるときにいっぺんにやっつけてしまおう、というわけだ。さすが2山のレンチャンとなると、疲労も半端ではない。
 羽保屋山は登りに約1時間半。急峻もやぶもなく、広々とした登山道を、ただひたすらゆっくりと登るだけの気持ちのいいコースだ。県北部に多いカラマツ林が美しい。下りは約1時間。昼ご飯は雪沢産直センター横の広場。風が強かったが、カップめんとおにぎりで満腹になった。隣の産直センターでは軽食も食べられるのだが、やっぱり野外で食べる山飯にはかなわない。御馳走でなくても充分うまいのが山飯だ。
 昼食後は車で移動、鳳凰山へ。ここは大館市民には「大文字焼きの山」として有名な場所だ。高台にある市民公園、ぐらいのなめた意識で登り始めたのだが、これがなんとハードな登りの連続だった。とくに「大文字」の文字が点火される斜面は風が強く、立っていられないほど。これは侮ると大変な目にあう。登りは1時間10分、下りは30分ほど。
 ということは2つの山合わせて登り2時間40分、下り1時間30分、休憩時間も入れると6時間近く山中をさまよった。たっぷり疲れてしまった。どちらの山も花はまだ先だったが、芽吹きの始まった春山は華やぎがある。

羽保屋山山頂にて

鳳凰山山頂にて
 温泉は市内の沼館温泉。県北にも沼館という地名があることをはじめて知った。山も温泉もすべてはじめてづくし。天井が高く、清潔で明るい、熱くない温泉だった。人気の温泉のようで、浴場はごった返していた。
 このW登山の1週間前、実はもう一つ山に登っている。秋田市の筑紫森だ。
 この日は「山の学校」の開校式。式の前に筑紫森に登った。雪のない山は久しぶりだ。しばらくぶりにスパイク長靴から開放され、土の感触を確かめるように味わった。登山道には至る所に真っ黒なクマのフン跡。もともと彼らの棲みかとはいうものの、こんなに跋扈しているのか。 クマの居場所にお邪魔している、という意識を常に持たないと危険なことをフン跡は教えてくれた。開講式後は、日ごろお世話になりっぱなしのモモヒキーズの事務局幹事Sシェフを誘って「和食みなみ」で食事。
 雪のない山シーズンのスタートを2人でひっそり祝って乾杯した。
 この後、酒田、東京、仙台と3泊4日の出張があった。夜にはその土地の人と呑むのが「出張」だ。旅という名の宴会である。旅はダイエットの最大の敵だ。
 このあたりからW登山前日まで、なにやかやと飲み会が続いてしまった。体重は目標の10キロ減どころか8キロ減まで「上昇」。ここが踏ん張りどころ。飲む前に野菜をたっぷり食べる。食後のデザートは禁止。日本酒は飲まないこと(カロリーが高い)。このことを意識に叩きこんで、どうにか10日間を乗り越えた。
 5月のGWには恒例の「鳥海山登山」がある。1年のうちでもハイライトといえる雪山のアイゼン装着の本格的登山だ。すべてがこの日のための準備なのだ。W登山もダイエットも、すべては鳥海山のために、なのだ。

筑紫森山頂にて

「山の学校」開校式

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●No. 1 草紅葉の海で、なぜかパエリア
●No. 2 贅沢お昼と、お気に入り温泉
●No. 3 白神のブナの森を彷徨う
●No. 4 南八幡平の自然休養林を歩く
●No .5 巨木の森で、雨に追われて
●No. 6 何が悲しくて、遠い県境の雨の山へ(+クマの話)
●No. 7 「キジ撃ち」慣れ、増える体重、初めての山
●No. 8 雹に雷とスパイク長くつ、是山の山
●No .9 賞味期限切れ食品がうまい、きれいな三角山
●No.10 生きものたちと出あい、ラーメンうまい雪の山
●No.11 はじめての朝市、風格の天然杉、泥土のババ落とし
●No.12 雪と風とツェルトとストック
●No.13 「靴納め」はダブル山行、かててくわえて忘年会
●No.14 これが今年最後の山行です、信じてください!
●No.15 桜のつぼみが大きいから、春は早い……
●No.16 彷徨っても漂っても、頂上は遠い
●No.17 動物の足跡がないのは、「なまはげ」がいるからだ
●No.18 どんな山でも、なにか新しいことを学べるもんだ
●No.19 「山があるんで、お先に」って言ってしまった夜
●No.20 大滝を見にスノーハイク、帰りは古民家見学
●No.21 冬は近場にこそ遊び場がある+ついにシュールストロミング開缶!
●No.22 山頂で野点、そうか今日は「桃の節句」か
●No.23 青空、中岳、ひとりぽっち
●No.24 石仏に村人はどんな思いを託したのだろうか
●No.25 冬限定、地図に名前のない山に登る
●No.26 登山道のないやぶ山で、昆虫になる

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