ずっと踏破してみたかった、歴史の古道 |
[仙北道(全長12.3キロ・秋田東成瀬村〜岩手胆沢町――2013年8月25日)] |
ずっとこの古街道を歩きとおすのが、夢だった。 4年ほど前、旧道入り口から中間地点の柏峠まで歩いた経験があるのだが、今回は秋田県側の十里峠から岩手県側の大寒沢林道終点まで、約12キロを歩きとおす奥羽山脈越えルートだ。もともと、この道は平安時代から軍事の道として、生活の道として、旅の道として、あるいは逃亡の道として、たくさんの人々が往来した記録の残る「街道」だった。国道や鉄道が生まれる以前の時代、いわば秋田の玄関口として文化移入の最前線を担った歴史の道である。が、近代に入り交通網の整備が急速に近代化するなか、この道は顧みられることなく、忘却の彼方へと消えていった。 それが平成2年、胆沢町の有志による踏査隊が、ほとんど原生林と深いヤブに覆われていた一条の道をたどり踏破に成功、全線をよみがえらせた。岩手側大寒沢林道から秋田の手倉越えのルートだ。 * 今年は岩手胆沢川の主催の年。交代で主催地が変わることになっている。片道だけで10時間近くを要するから、どちらかのゴール側に送迎の車を用意しなければならない。そのため今回ならば岩手側に着いてから、車を待機させ秋田県側に戻ってくる必要がある。出発点と到着点に車を用意しないと踏破できないから、一般的な山歩きでは無理がある。 秋田市を出発したのは朝4時。ということは和賀岳に引き続き、またしても朝3時起きだ。早起きにはだいぶ抵抗がなくなってきたとは言うものの、朝3時はやっぱりきついなあ。 東成瀬村の「まるごと自然館」を朝6時にスタート。といっても旧道入り口までマイクロバスで運ばれていく。この道路も一般車両は通行が難しいところ。行政の許可が必要な「使用不可」道路が仙北道には多々ある。一般の人が勝手に歩けない道でもある。 山歩きではないから、きつい登りがあるわけではない。が天候が悪かった。時々雨がぱらつき、おまけに蒸し暑い。希望は道の下草がきれいに刈られていることだ。参加者は総勢40人ほど。スタート地点で気分が悪くなりリタイアした人もいた。これは朝早くから岩手側からバスに揺られて参加したためのようだ。
ここから最大の難所である大胡桃山を越える。山らしい登りはここだけだが、ここまでがとにかく長い。この登りで足に痙攣がきた人も何人かいたようだ。でもここからは大寒沢林道終点は目の前だ。大胡桃山からの下りは、もうゴールが近いので勢いがでる。弾むように、転がるように下って、30分ほどで林道終点ゴールへ。8時間を超す街道ウォークは大きなトラブルもなく終わった。大勢の方々がゴールで待ち構えてビールをふるまってくれた。 近くの焼石岳温泉「ひめかわ」で汗を流し、お隣にある宴会場で東成瀬村と胆沢町の交流会。これにも参加させてもらった。五千円の参加費で、飲んで食べて、なんだか申し訳ない。楽しい時間はあっという間に過ぎる。7時にはマイクロバスが東成瀬村に出発する。胆沢から東成瀬村までは車で1時間半ほど。そこからさらに私たち秋田市組は車で1時間半。家に着いたのは10時を回っていた。疲れた。 |