ストックを、持ち逃げされた秋の山伏 |
[山伏岳(1315m・湯沢市秋の宮――2013年9月29日)] |
泥湯温泉の登山口駐車場に入ると、大型バスが3大も停まっていた。そんなに人気のある山だっけ。今日はこの登山口から小安岳に登り、そこから高松岳、さらに山伏岳へと縦走し、川原毛側に下りてくるというコースだ。 8時間ほどのコースタイムを見ているのだが天候は曇り、予報では午後から晴れ。花も終わったし、ゆっくり静かな秋の山を楽しみたいと、思って出かけたのだが、いきなり60人近い団体と遭遇してしまった。秋田と岩手の山サークルの合同登山だそうだ。中高年女性が多いので、おしゃべりの集団喧騒に巻き込まれるのはさけたい。せっかくの静寂の山が台無しになる。 彼らより一足先にスタートすることにする。先頭は小生。Sシェフがいないので、まあ、しょうがない。登り始めから、なんだか腹の調子が悪い。ウンチが詰まっているのだ。もう2日間便秘状態だ。歩き始めると、お腹が刺激されたのか、グルグルとなりだした。1時間ほど歩いたところで藪に入り「キジ撃ち」。山でウンチをすると、ふだんの倍は確実に出る。ウンチを外に出すとカチッとアクセルが入ったように身体が軽くなり、気分も爽快。
団体客に追いつかれないように、少しずつピッチを上げる。2時間で小安岳山頂に。青空が広がり、うろこ雲が美しい。でもちょっと油断するとガスがかかって周りの景色が全く見えなくなる。これが山の醍醐味でもある。 ここから1時間ちょっとで高松岳山頂へ。昼食タイムはこの山頂でとったのだが、例の団体登山者たちにここで追いつかれた。60人もの人間が山頂に押し掛けてきた。ゆっくり食べている余裕はない。早々と高松小屋まで下りようと思ったが、あれっ、ストックがない。狭い山頂でストックを見失うなんて、ありえない。30分近く、団体客たちにいやな顔をされながら、彼らのお尻の下を探しまわったが、見つからない。Sさんが、「団体客の誰かが自分のストックを下の小屋に置いてきて、安倍さんのものを持ち帰ったのではないのか」という。そんなことがあり得るだろうか。いくらヨレヨレの老人といっても、そこまでボケているとは考えにくい。それにしても今年に入ってストックをなくすのは4本目。つくづくストックと相性がわるい。あきらめて小屋まで下りると、小屋の前の標注に、ストックが2本立てかけてあった。やっぱりボケオヤジが持ち帰り、小屋で気がついて、あわてて置いていったもののようだ。頭に来るなあ。 高松小屋から山伏岳分岐に入り、ずっと下りが続いた。藪の中で景色も見えないし、日が当らないので道も悪い。先頭のせいか2度ヘビと出あった。1度目はよく分からないがマムシだろう。大きな鳥が目の前から急に飛び去ったのには肝を冷やした。先頭はまだ無理だな、自分は。 予定通り8時間弱で山伏岳登山口(川原毛地獄)に下りてきた。そこから舗装道をエッチラオッチラ30分ほどかけて歩いて駐車場のある泥湯口へ。車なら5分もかからないところだが、この歩きを入れても縦走ってやっぱりいい。下りの景色が2回楽しめる。 * 温泉は当然、登山口の隣にある泥湯温泉、といきたいところだが、シャワーなどの衛生設備がない。ここはわがままを言ってパスし、増田町にある「ユップル」まで戻った。増田では、もうリンゴが赤くなりかけていた。早く食べたい。
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