No.46
侮ってしまった! やっぱり太平山系はきつい
[馬場目岳(1037m・秋田市――2013年10月6日)]
 侮ってしまった。太平山系の小さな山でしょう、と軽い気持ちで登り始めた。それがとんでもない思い違いだった。秋田市内を貫流する旭川の源流部の一角にある山なのだが、山ヒルが多く、登山者には敬遠されることが多い山域でもある。
 とにかく最初から最後まで急峻な登りが途切れることなく続く。それでもなんとか3時間ぐらいは耐えられたのだが、そこからさらに赤倉岳に縦走、というのが無謀だった。馬場目に比べて登りはそうでもないがアップダウンが延々と続き、けっきょく縦走に4時間近くを要し、合計8時間近い山行になってしまった。途中、いたるところにキノコの山があり見つけるたびに寄り道してしまうのも時間を食った原因だ。でも、馬場目岳の山頂で食べたキノコ汁は、身体にしみこむほどうまかった。

馬場目岳山頂

赤倉岳山頂
 噂のヒルの被害は幸いにもゼロ。ヒルの代わりにうれしいキノコが待っていた、というあんばいだ。このへんはイヌワシがよく目撃されると聞いていたので何度か空を見上げたが、それらしい鳥は飛んでいない。キノコとイヌワシ、両方共というのは虫がよすぎる。
 この日、体調もあまりよくはなかった。連日、机の前で夜遅くまでPCにかじりついて、初歩的な経理や受注管理のお勉強をしている。かなりしんどい作業で、ストレスもドカンと塊で襲ってくる。そんなもろもろが身体にも正直にあらわれてくる。腹の調子が悪く、キジ撃ちしようにも、その体力がなかったほどだから、ちょっと重症。体重もこのところ予想以上のスピードで落ち始めている。ダイエットの効果なら喜ぶべきことだが、仕事疲れから来るやつれだとしたら、対策を考えなければならない。
 いずれにしても仕事の態勢がこの秋から急速に変化し、山に気持ちを集中させるゆとりがない、というのが正直なところだ。
 この日の馬場目―赤倉の縦走も何の下調べもせず、前日バタバタと準備をし、寝不足、仕事疲れのまま、登りだしてしまった。山を侮ってはいけない。猛省。
                       *
 温泉はいつものザ・ブーン。温泉に入ると、身体だけでなく気持ちもリフレッシュする。やはり、言葉では言い難い効用があるのだろう。最近は温泉に入るために山に登って(汗をかいて)いるのか、と思うこともあるほどだ。登り始めから「今日の温泉はどこ?」なんて会話をしているのだからノーテンキなものである。

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●No. 1 草紅葉の海で、なぜかパエリア
●No. 2 贅沢お昼と、お気に入り温泉
●No. 3 白神のブナの森を彷徨う
●No. 4 南八幡平の自然休養林を歩く
●No .5 巨木の森で、雨に追われて
●No. 6 何が悲しくて、遠い県境の雨の山へ(+クマの話)
●No. 7 「キジ撃ち」慣れ、増える体重、初めての山
●No. 8 雹に雷とスパイク長くつ、是山の山
●No .9 賞味期限切れ食品がうまい、きれいな三角山
●No.10 生きものたちと出あい、ラーメンうまい雪の山
●No.11 はじめての朝市、風格の天然杉、泥土のババ落とし
●No.12 雪と風とツェルトとストック
●No.13 「靴納め」はダブル山行、かててくわえて忘年会
●No.14 これが今年最後の山行です、信じてください!
●No.15 桜のつぼみが大きいから、春は早い……
●No.16 彷徨っても漂っても、頂上は遠い
●No.17 動物の足跡がないのは、「なまはげ」がいるからだ
●No.18 どんな山でも、なにか新しいことを学べるもんだ
●No.19 「山があるんで、お先に」って言ってしまった夜
●No.20 大滝を見にスノーハイク、帰りは古民家見学
●No.21 冬は近場にこそ遊び場がある+ついにシュールストロミング開缶!
●No.22 山頂で野点、そうか今日は「桃の節句」か
●No.23 青空、中岳、ひとりぽっち
●No.24 石仏に村人はどんな思いを託したのだろうか
●No.25 冬限定、地図に名前のない山に登る
●No.26 登山道のないやぶ山で、昆虫になる
●No.27 ダブル登山で、県北の春山に酔う
●No.28 GWは雪の回廊を抜け、強風の山頂に立つのが夢
●No.29 街から7キロ先に、千メートル級の山があるの?
●No.30 下水掃除と宮沢賢治とアイゼン登山
●No.31 青空・無風・トラブルなし。雑魚10匹より大物1匹
●No.32 みんな嫌がるけど、オレは好きだヨ、東山
●No.33 週末連続登山で、体力は大丈夫か、ジブン
●No.34 地元のプロと一緒だと、山歩きは百倍楽しい
●No.35 ブナと滝のシャワーを浴びて、少し元気になってきたゾ
●No.36 あれッ、なんだか人並みに体力がついてきたかな
●No.37 雷に追われ、山小屋泊まり、ガスっても岩手山は美しい
●No.38 県内最強のタフな山で、野立の誕生会
●No.39 中央アルプスで観光登山、それもまた楽し
●No.40 面白みはなくても、一度は登ってみたい虎毛山
●No.41 世界遺産の山で、会うのはへんなオジサンばかり
●No.42 ずっと踏破してみたかった、歴史の古道
●No.43 早池峰の、代替がきつかった、岩の山
●No.44 知っていそうで、知らなかった駒ヶ岳
●No.45 ストックを、持ち逃げされた秋の山伏

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