山よりも、ランチと温泉が楽しいこの季節 |
[森吉山(1454m・森吉町――2013年11月3日)] |
いまこの時期に、なんで森吉山なの? 花はとっくに終わっているし、滝は寒そうだし、雪もちらほら。おまけに雨模様で空はどんよりだ。秋田県でも人気の山なので、いまさら目新しいものは何もないし、私自身、何度も登っている。この時期にどうしても登りたい山では、ない。1週間後には無明舎40周年の記念イベントがある。この準備に忙殺されている真っただ中だから行かずに済ますこともできたのだが……。でも行かなければならない。いや行くのだ。今週末の記念イベントの舞台裏を支えてくれるのが、この山仲間たちモモヒキーズの人たちだ。当日、奮戦してくれる人たちとちゃんとコミュニケーションとるためにも、今日の森吉は大事な打ち合わせの場でもあるか。 と、これは冗談だが実は来週の記念イベント(9日)の翌日の日曜登山は行けそうにない。ここで森吉山を欠席すると、私自身は3週間山に登れない状況をつくってしまう。登山は慣れだ。毎週山に身体をなじませておけば、身体は特別なトレーニングをしなくても高所に順応してくれる。寒さもケイレンも空腹も山となじんでいれば防げるものなのだ。 というわけで森吉山なのだが、これがまったくの想定外の山だった。 阿仁ゴンドラ駅の横を抜けて登っていくとブナ帯キャンプ場がある。ここが登山口だ。実はこの登山口から登るのは初めてだ。ここから石森まではまったく観たことのない風景の中を歩く。新鮮なのも当然だ。まるで今までの森吉のイメージとは違い、緑豊かでブナも端正だ。人はほとんどいないし、登山道も整備されている。 頂上までは2時間ちょっと。いつものように賽ノ河原のような頂上は吹きさらしで、おまけにガスって前が見えない。あまりに風が強いので山頂には1分もいられなかった。すぐに避難小屋まで下り、そこでランチ。この時期は山小屋があるかどうかが山を選ぶ重要な決め手になる。いつものように登山者は我々以外いないので山小屋は貸し切り状態だ。
モモヒキーズは役割分担ができている。コーヒーを沸かしてくれる人、甘もの専門の人、鍋料理人、酒屋さん、お点前の師匠までいる。私は食べるのが専門。 * 温泉はいつもの阿仁前田駅「クウィンス森吉」。駅の中にある温泉なのだが汽車の姿を観たことがない。これも変な話だ。こんどは湯あがりに時間をとって内陸線を観てみたい。 それにしても温泉がありがたい季節になった。初冬の登山は身体が冷え切ってしまう。おもわず登りながら「今日の温泉、どこ?」と、かならず誰かが訊いてしまうほどだ。 温泉のありがたさが実感できる季節だが、山よりも温泉やランチのほうが気がかりな山登りというのも、ちょっと問題かもなあ。 |