No.57
今年初の、本格的雪山を堪能
[一の沢山(532m・秋田市)――2014年3月9日]
前日土曜日はモモヒキーズのもっとも若いメンバー、国際教養大学1年のY女子のお母さんが、東京からわざわざスノートレッキングを楽しみたいと来秋した。リーダー・Sシェフが不在だったために、不肖ワタクシめが河辺・岩見ダム周辺のスノートレッキング案内をすることになった。もともとSシェフは県南の黒森山あたりを案内する予定だったのだが、初心者の域を出ない小生には力量に問題がある。秋田市からも遠いし。そこで私たちのホームグランド「山の学校」のある岩見ダムに急きょ行先を変更。ここならF校長がいるので心強い。何があってもすぐに学校に駆け込めばいい。チョー安心だ。というわけで若い都会の母子を連れてのスノーハイキングは吹雪あり、青空あり、アケビの弦でリースを作り、深雪踏み分けながら清冽な川沿いを1時間半、無事終了した。
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翌日、この岩見ダムもすぐそばに見える一の沢山に登った。モモヒキーズの例会日曜登山で、去年もこの時期に登っている。
ここも雪の季節しか登れない(登らない)冬専用コースだ。尾根道に上がってからの山頂までの急斜面がハイライトで、これが結構きつい。たしか去年は登りに3時間近くかかったが、みんな慣れたせいか、もうルートを間違えることもなく2時間で山頂に。去年より1時間も短縮できた。
天気予報は見事はずれて(曇りのち雷)、午前中は紺碧の青空。もうこの深い紺色の青空を見ただけで今年の冬山は満足だ。
今年に入って初めての本格的な冬山登山と言っていいだろう。適度に汗もかいたし、ラッセルも無事こなせた。右ひざの痛みもなく、手足の冷えもない。呼吸も乱れないから体力的にはどこも問題はないようなのが、何よりうれしい。
前日の母子の案内では、ヤドカリのような樹上の熊棚を見せたかったのだが、どこにも発見できなかった。去年、何年ぶりかでブナの実が豊作だったので、熊も木の上まで登ってエサをとる必要がなかったからでは、という人もいたが、一の沢山では熊棚が至る所に。都会の母子には、あの高くて細い木の先端まで熊が登る光景を想像してもらいたかったのだが、残念。

岩見ダムの母子

これがクマ棚
雪山でのランチは楽しい。たっぷりお湯を沸かしてカップめん。普段できるだけ炭水化物系はとらないようにしているのだが、山ではめんもおにぎりも食べたいだけ食べる。この日も最後はカップめんの残りのスープにおにぎりをぶち込んで雑炊に。完全に食い過ぎだ。
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一の沢山の一番の特徴は下山だ。急斜面なのでロープを張らなければ降りられない。これが怖くて、この山はポピュラーなルートになれないのかもしれない。
スノーシューでロープに頼らず恐る恐る降りてみるが、やっぱり怖い。急斜度なので落ちてしまうとかなりの距離を滑り落ちてしまう。その恐怖感が半端でない。スノーシューを斜面に横向きに踏み込みながら、ゆっくり一歩一歩降りるしかない。
それにしても今年の冬山では動物の足跡を見かけない。ウサギも狸もカモシカもテンも、全くといっていいほど足跡がない。山中で何か異変が起きているのだろうか。
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温泉は河辺の「ユフォ―レ」。たぶん、県内の温泉の中で最もはいる頻度の高い温泉だ。前日もここだったし。
ここの露天風呂は解放的でぬるすぎないのがいい。ときどき、露天風呂よりも本風呂のほうがぬるい時もあるのはご愛嬌だが。
今回から風呂上りにポカリスエット系のスポーツドリンクを飲むのをやめた。ある本で、これらのスポーツドリンクの砂糖使用量の多さを問題にしていたからだ。500ミリリットルのペットボトル1本に角砂糖換算で10個近い甘味が使われているのだそうだ。これはやばい。やっぱり水しかないのかなあ。風呂上がりの楽しみが一つ消えてしまった。

backnumber
●No. 1 草紅葉の海で、なぜかパエリア
●No. 2 贅沢お昼と、お気に入り温泉
●No. 3 白神のブナの森を彷徨う
●No. 4 南八幡平の自然休養林を歩く
●No .5 巨木の森で、雨に追われて
●No. 6 何が悲しくて、遠い県境の雨の山へ(+クマの話)
●No. 7 「キジ撃ち」慣れ、増える体重、初めての山
●No. 8 雹に雷とスパイク長くつ、是山の山
●No .9 賞味期限切れ食品がうまい、きれいな三角山
●No.10 生きものたちと出あい、ラーメンうまい雪の山
●No.11 はじめての朝市、風格の天然杉、泥土のババ落とし
●No.12 雪と風とツェルトとストック
●No.13 「靴納め」はダブル山行、かててくわえて忘年会
●No.14 これが今年最後の山行です、信じてください!
●No.15 桜のつぼみが大きいから、春は早い……
●No.16 彷徨っても漂っても、頂上は遠い
●No.17 動物の足跡がないのは、「なまはげ」がいるからだ
●No.18 どんな山でも、なにか新しいことを学べるもんだ
●No.19 「山があるんで、お先に」って言ってしまった夜
●No.20 大滝を見にスノーハイク、帰りは古民家見学
●No.21 冬は近場にこそ遊び場がある+ついにシュールストロミング開缶!
●No.22 山頂で野点、そうか今日は「桃の節句」か
●No.23 青空、中岳、ひとりぽっち
●No.24 石仏に村人はどんな思いを託したのだろうか
●No.25 冬限定、地図に名前のない山に登る
●No.26 登山道のないやぶ山で、昆虫になる
●No.27 ダブル登山で、県北の春山に酔う
●No.28 GWは雪の回廊を抜け、強風の山頂に立つのが夢
●No.29 街から7キロ先に、千メートル級の山があるの?
●No.30 下水掃除と宮沢賢治とアイゼン登山
●No.31 青空・無風・トラブルなし。雑魚10匹より大物1匹
●No.32 みんな嫌がるけど、オレは好きだヨ、東山
●No.33 週末連続登山で、体力は大丈夫か、ジブン
●No.34 地元のプロと一緒だと、山歩きは百倍楽しい
●No.35 ブナと滝のシャワーを浴びて、少し元気になってきたゾ
●No.36 あれッ、なんだか人並みに体力がついてきたかな
●No.37 雷に追われ、山小屋泊まり、ガスっても岩手山は美しい
●No.38 県内最強のタフな山で、野立の誕生会
●No.39 中央アルプスで観光登山、それもまた楽し
●No.40 面白みはなくても、一度は登ってみたい虎毛山
●No.41 世界遺産の山で、会うのはへんなオジサンばかり
●No.42 ずっと踏破してみたかった、歴史の古道
●No.43 早池峰の、代替がきつかった、岩の山
●No.44 知っていそうで、知らなかった駒ヶ岳
●No.45 ストックを、持ち逃げされた秋の山伏
●No.46 侮ってしまった! やっぱり太平山系はきつい
●No.47 この山には、もう来られないかもしれない
●No.48 山よりも、ランチと温泉が楽しいこの季節
●No.49 晩秋の雪山は、みごとな小春日和
●No.50 今年もまた、やってきたリンゴ狩りの山
●No.51 33体プラス番外9体、石仏訪ね完全踏破
●No.52 地元の人と登れば、山の表情が違って見える
●No.53 今年最後の山は、懐ひろい森山へ
●No.54 さあ、今年もいよいよ登り始めだ
●No.55 体調はいまいち、侮れない高尾山
●No.56 春子館にも立ち寄って、ここは冬の定番コースだ

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